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更新日: 2025.05.20

水分不足になりがちな夏は要注意
尿路結石

医学博士植地 貴弘さん

高年男性に多く、女性も増加中


尿路結石は、腎臓から尿道までの尿の通り道にできる石のことです。強い痛みや血尿、排尿障害を引き起こすことがあります。日本では、年間およそ10万人あたり138人が発症し、特に40〜50代の男性に多い病気です。最近は、女性にも増加しており、生活習慣の欧米化が背景にあると考えられています。
 左右どちらかの背中から脇腹、下腹部にかけての突然の激しい痛みが、尿路結石の典型的なサインです。痛みは波のように強くなったり弱まったりし、吐き気やを伴うこともあります。また、血尿や尿が出にくいなどの症状も見逃せません。こうした症状がある場合は、医療機関の受診を検討しましょう。
 病院ではまず画像検査(CTやエコーなど)で結石の大きさや位置を確認します。小さな結石であれば、水分を多く取って自然に排出されるのを待つ「保存的治療」が選ばれます。この場合、鎮痛薬を使って痛みを和らげながら経過を見守ります。一方、大きな結石や詰まりが強い場合は、後日、体の外から衝撃波をあてて砕いたり、内視鏡を使った手術を行うこともあります。

発を防ぐために生活習慣の見直しを


結石は一度できると再発しやすく、5年以内に約半数の人が再発するといわれています。生活習慣を整えることが再発防止に有効です。
 予防策として最も重要なのは、水分摂取です。体内の水分が不足すると尿が濃くなり、結石ができやすくなるため、1日2リットル以上の水を意識して飲みましょう。
 次に、バランスの良い食事です。1日3食、野菜をしっかり摂りましょう。シュウ酸(ほうれん草やナッツなどに多く含まれる)や塩分、肉類の摂りすぎは結石の原因になります。一方で、適量のカルシウム(牛乳やヨーグルトなど)は、結石予防に役立つとされています。動物性タンパク質も摂りすぎるとリスクになりますが、乳製品由来のタンパク質は比較的、安全です。
適度な運動も効果的です。運動は肥満を防ぐだけでなく、尿の酸性度やクエン酸の分泌を調整し、結石ができにくい体を作ってくれます。週に3〜4時間を目安に、ウォーキングや自転車、階段の昇り降りなど、少し息が上がる程度の運動がおすすめです。尿路結石は、決してまれな病気ではありません。普段から水分補給や食生活、軽い運動を意識して予防しましょう。

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